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トップや上司の成功体験を社員や部下が受け入れない理由とは?

2020年3月15日

「悩んで解決」のプロセスを示すことではじめて社員や部下は学ぶ気持ちになる!

 私は20年サラリーマンをやってきた中で約50名の部下を預からせていただいたことは以前より話をしていますが、それと同時に当然ですが多くの上司の下で働かせていただきました。

 その中には特徴的な一面を持っている上司も多かったのですが、一例をあげると「力を誇示する」上司がいました。

 これは私がひたすら中小企業を渡り歩いてきたと言うことも関係しています。

 とにかく社長からしていわゆる「ワンマン」な方が多かったのです。

 さらに「仕事が属人化している」ことや「仕組み化されていない」ことも多く、そうなると必然的に「自分の経験のみ」でマネジメントをしている上司が多くなり発言力が大きくなる土壌ができやすい社内環境がありました。

 私が30代の時に一回り年上の男性の上司と仕事をしたのですが、その方もそのタイプの1人でとにかく「自分の成功体験を語る」方でした。

 言ってしまえば「自分はできるやつ」「これだけのことをして来たんだ」と言う自慢をする上司だったのです。

 その上司は大手の企業から社長に直接スカウトされて中小企業の自社に転職してきた方だったこともありましたが、とにかく出てくる言葉は成功体験の話ばかりです。

 そんな上司を見ながら私はキャリア的には彼を認め尊敬はしていました(するように努めていました)が、一方で彼の成功体験を学ぼうとする気持ちがどうしても起きなかったのです。

 頭では分かっていても気持ちの面で受け入れないのです。こちらのコラムでも度々登場している「人は理論では動かず、感情で動く動物である」の状態がまさにその時起きていたのです。

 ではなぜ気持ちの面で拒否をしてしまうのか?嫌悪感を持ってしまうのか?

 私なりに考えた結果その答えは以下の3つに集約されました。

1、 試行錯誤のプロセス段階がなく成功体験の結果しか語られていないため再現することができない
2、 どうしても社員や部下の成長のためではない自身の力を誇示する自慢にしか聞こえない
3、 大手企業のやり方をそのまま中小企業にあてはめようとしても機能しない

 今回は3については別の論点になりますので又別の機会に書かせていただくとして、上記を見るかぎりやはり人は「感情」を重要視すると言うことが分かります。

 社員や部下からすれば「あなただからできるんだ」「上から目線で受け入れられない」となってしまうのです。

 この平行線を解決するために必要なのは「プロセスを語る」「ストーリーにする」と言う点になります。

 どんなに頭が良くいわゆる「天才」と呼ばれる人でもその結果にいたる経緯においていきなり成功をおさめたわけではなく、様々な苦労や悩みの中で試行錯誤したプロセスやストーリーがあるはずです。

 トップや上司が自身の成功体験を語る時は

1、 社員や部下が参考にできる「再現性」を担保する
2、 社員や部下が感情的に受けいれることができるように「悩んで解決」のストーリー性を持たせる

 ことが必要になります。

 「ただ自慢したいだけ」と言うのは言語道断ですが、「自分の成功体験を社員や部下にぜひ参考にしてもらいたい」と言う思いで語るのであれば上記の視点を入れましょう。

 又、これは「会社としての組織力」や「チームの結束力」と言った別の側面からの相乗効果も生むためトップや上司は心がける必要があるのです。

自身の百姓からの成功プロセスを恥ずかしがることなく明るく語った豊臣秀吉の人間性

 今回のコラムの事例として1番適している戦国武将は、今までも繰り返しご紹介させていただいている百姓から天下人までのぼりつめた幅ひろい経験を持つ豊臣秀吉と言えるでしょう。

 彼は尾張国(現在の愛知県)の中村の百姓として生まれ、その後家を飛び出し数々の職を転々としながら諸国を放浪します。

 その後晴れて当時大国の駿河国(現在の静岡県)の今川義元(いまがわよしもと)の家臣だった松下之綱(まつしたゆきつな=嘉兵衛=かへえ)に仕えるもクビになりその後自身の運命を変える織田信長に仕えることになります。

 その信長の元でまさに「泥だらけ」になり死にものぐるいで努力をし結果を出すことで秀吉は出世街道をばく進し約20年をかけて近江国(現在の滋賀県)の長浜に自身の城を築城しました。

 彼はその長浜の時代に良く家臣に自身の成功体験を語っていたと言います。しかし彼の成功体験談は決して「わしはすごいぞ」と言う自慢ではなかったのです。

 普通であれば自身が百姓出身であると言うことは家臣(部下)たちの前では語りたくないものであり進んで語る必要もないものです。

 しかし秀吉は自身の出自が家臣(部下)たちよりも低いのにも関わらず、それを恥ずかしがることなくどのようにして主君である信長に認められるよう結果を出してきたか、その苦労や悩み、試行錯誤の経験をストーリー仕立てで真摯に語ったのです。

 その秀吉の姿勢は当時若者が中心だった家臣たちに見事に受け入れられました。

 「自分も秀吉様のようになりたい」と思った者、「かくすことなく真摯に語ってくれた」と思った者、家臣の誰もが「自慢」や「押しつけ」ではない秀吉のどん底からの成功プロセスに共感したのです。

 そしてその再現性を学び、更に家臣団として結束力も高まりその後秀吉は家臣たちの活躍もあり更に出世街道をかけあがって行くことになりました。

 これはまさに秀吉の「自身の成功体験をプロセスから惜しげもなく提供する」姿勢が家臣たちの心をつかみ、家臣たちのモチベーションに火をつけた結果と言えるでしょう。

 トップや上司として社員や部下の成長のため自身の成功体験を語る場面と言うのは仕事をしている中で必ずおとずれます。

 その時に「成功体験」のみを語ることで「自慢」と取られるのか、恥ずかしい気持ちを封印し社員や部下のために「悩んで結果を出した」プロセスを語ることで「信頼」を勝ち取るのか、これは非常に大きな分かれ道になります。

 ぜひ心から社員や部下を思い、自身の「悩み→試行錯誤→成功」のプロセスを共有することで社員や部下の成長を促進してまいりましょう。

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