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トップや上司は必ず社員や部下を引っ張るリーダーでなければならないのか?

2020年3月25日

社員や部下を活かす「サーバントリーダーシップ」の考え方

 私ははっきり言ってしまうと「人の上に立つ」タイプではありません。

 これは昔からまったく変わっていない点であり現在もお客様には「先生」と呼んでいただくこともあるのですが、どうしてもしっくり来ないのが現状です(それでも気持ちだけはしっかりと持っております)

 この点は今までのコラムを読んでいただくと随所にあらわれている私の性格になりますが、とにかく先頭に立って人をぐいぐいと引っ張っていくのが苦手なのです。

 そんな私が現在専門としてやらせていただいている「戦国武将からひもとく人材育成・組織構築」ですが、たくさんいる先人の戦国武将の中で1番あこがれているのはほかでもないあの「織田信長」です。

 学生の頃からゲームや書籍で信長の人生にふれる度に「かっこいいなあ」「あんな風に生きたい」と思って来たわけですが、その理由は「自分と言う人間の真逆にいる人物」と言うことが潜在的に分かっていたからでしょう。

 そしてその認識は社会人になり部下を持たせていただいた時により明確になりました。

 私は当初「トップや上司であるリーダーは思いきりリーダーシップを発揮して強力に社員や部下を引っ張っていかなくてはならない」と思っていました。

 そしてそれがどうしてもできない自分がもどかしく、情けなく、どうすれば良いのか悩んでいたのです。

 そんなある日、友人と話をしている時にそんな状況をついぐちってしまったのですが、その時自分の性格を良く知っているその友人から言われたことが「お前が理想とするリーダーシップができないのならできることをさがしてそれをやるしかないだろ」と言う言葉だったのです。

 そこから私はふっ切れて「自分ができることは何なのか?」を考えました。そして「引っ張ることができないのなら部下を後ろから支えるリーダーになろう」と決意をしたのです。

1、 部下の目標や自己実現を支援する
2、 部下の能力を信じ、成長へとみちびく
3、 部下の強みをひきだす

 この時に重要なのはリーダーシップをとれる社員や部下を1人でよいので決めることです。これは言ってみれば「適材適所」でありチームメンバーが全員同じ立ち位置を取ってしまうとチームとしては機能しません。

 とは言え人が何人か集まれば私の経験上チームをうまく巻きこみリーダーシップを発揮する人材はいますので、その人材をトップや上司として責任を持って支える必要があります。

 組織やチームは「総合力」の勝負です。トップや上司と言えども自分が1番能力を発揮できるポジションで機能することが理想です。もちろん場合によっては強力なリーダーシップを発揮しなければいけない時もあるでしょう。

 しかし「トップや上司はリーダーシップを発揮して社員や部下を必ず引っ張って行かなければならない」わけではないのです。そう言った固定観念を捨て自分が1番能力を発揮できるポジションで機能することも立派なトップや上司のリーダーシップとなるのです。

トップとしての形にこだわらず自分ができることに徹した毛利隆元のマネジメント

 現代の私と同じ状況に身を置き、悩みもがきながらも自身が1番国(会社)のために機能するポジションを模索した戦国武将がいます。

 それは「中国地方の覇者」毛利元就の長男、毛利隆元(もうりたかもと)です。

 元就には以前こちらのコラムでもご紹介しました「三本の矢」で有名な「毛利三兄弟」と呼ばれた息子たちがいました(元就の設けた息子は9人と言われています)

 元春と隆景についてはこちら→http://urx.blue/OQ9V

 2人の弟である次男の元春(もとはる)は「武勇にすぐれている」、三男の隆景(たかかげ)は「親しみやすさがありコミュニケーション上手」と言う特徴を持っていましたが、長男である隆元は2人の弟に比べておとなしく非常に実直でまじめな武将だったのです。

 父である元就は長男として隆元を当主(社長)に任命しますが、その隆元自身は元春と隆景の才能にある意味嫉妬し、自身のリーダーシップのなさに悩んでいたと言われています。

 ましてや父は一代で中国地方を手中におさめた元就です。隆元は父、弟と自身を比較しては「当主(社長)としてやっていく自信がない」と事あるごとに周囲にもらしていたと言います(隆元が悩みを吐露する書状が残っています)

 そんな隆元が悩みに悩んだ先にたどり着いた境地が「自分が前面に立ちリーダーシップを発揮するのではなく、個性・能力が高い父と弟たちを活かして毛利家を守っていく」と言う考えだったのです。

 まさに当主(社長)でありながら1歩引いて能力の高い元春や隆景を活かす道を模索し、父の元就の提案する戦略を側面から支えひたすら毛利家が生き残るために自分を使い切ったのでした。

 その成果からか隆元の時代に毛利家は西の大国だった大内家を「厳島の戦い」でうち破り滅亡させ勢力を拡大することに成功しています。

 ここにおいても歴史的には父の元就と2人の弟の活躍ぶりがクローズアップされますが、その陰には3人の動きを献身的に支えた隆元の貢献があってのことと言えるのです。

 残念なことに隆元は父の元就よりも前に40歳の若さで亡くなります(一説には暗殺されたと言う説もあります)。

 その生涯はもしかしたらリーダーらしからぬ一生だったかも知れません。

 しかし隆元の死後毛利家は家中が混乱しバラバラになった時期があったと言われており、元就や弟たちは隆元がいなくなりあらためて「いかに隆元が毛利家にとって必要な人材だった」のかを認識することになったのでした。

 トップや上司のリーダーとしての役割は先頭に立ち強力な力で社員や部下を引っ張っていくことだけではありません。1歩引いて「貢献」の気持ちで社員や部下を成長へと導くことも立派なリーダーの役割となります。ぜひ形にこだわらず自分に1番適したポジションでリーダーとしての役割を全うしてまいりましょう。

 

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