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「理念」と「評価」を一致させて家臣のモチベーションを維持させた信長のマネジメント

2020年7月6日

「理念」に沿った「評価体系」を設計しないと社員のモチベーションは低下する!

先日、コロナでの緊急事態宣言解除後はじめての経営者セミナーを開催させていただきました。まだまだ予断を許さない状況ではありますが、対策を万全にした状態で再開しております。

今回はその際に参加されたある経営者様のお悩みをご了承いただきましたのでご紹介させていただきます。

その経営者様はセミナー終了後、私のところまで来られこんなお話をしてくださいました。

経営者様いわく「うちの会社は信長の理念に沿った経営は比較的良く出来ていると思うのですが、なかなか社員のモチベーションが上がらなくて困っています」とのことでした。

そこで私は今までこちらのコラムでお話したいくつかの項目に基づいてその経営者様に質問をさせていただきました。

「社員の自律を促進するために戦術(仕事のやり方)については社員にまかせていますか?」や「会社の理念が社員の思いとして「自分事化」出来ていますか?」と言ったものですが、その質問の中で経営者様の答えがつまるものが1つありました。

それは・・・

 「会社の理念と社員の評価は一致していますか?」と言う質問です。

経営者様いわく「確かに今考えれば理念はしっかりと浸透していると思うが、評価がその理念に沿っておらず、営業成績等の数字でばかりされているのが現状だと思う」とのことだったのです。

これは実はどこの会社でもおちいる可能性がある事象と言え、実は私自身も何度も経験があるのです。

「理念」とは裏腹の「評価」体系

 以前勤めていた会社での出来事

 その会社は「社員が成長することで、より良い社会作りに貢献する」と言う理念を掲げていました。そしてその理念を実現するためには「社員一人ひとりが自律して考え行動することが必要だ」と社長は常々言っていたのです。

 それを受けて当時課長だった私は、自分の部下に「管理部であるけれども、自分たちで考えて成長することで会社に利益を生み出し社会に貢献する支えとなろう」と呼びかけました。

 それにたいして部下たちも共感を持ってくれたことで非常に課(チーム)のモチベーションが上がり、次から次へと仕事上の改善点のアイデアが提案されたのです。

 私も部下の思いと行動に感心し、意気揚々と上層部に提案をしたのですが・・・。

 その結果は「ほとんどが却下」されてしまったのです。

 部下はかなりのショックを受けてしまい、それ以後は自分たちで考えて動くことを完全にやめてしまいました。部下からすれば「どうせ自分たちで考えて動いたって認めてもらえないのならやっても仕方がない」と言うことなのだと思います。

 お恥ずかしいのですが、私がまだ力が及ばなかったこともあり、この会社ではその点を改善するまでにこの後数年かかってしまいました。

 この会社の何が行けなかったのでしょうか?

 それは・・・

 経営理念と評価が一致していなかった

と言う点です。

 そしてなぜその状況が起きているかと言えば・・・

 トップである社長が本気で経営理念を達成する覚悟がなかった

ことに尽きると言えます。

 その覚悟がブレているがゆえに経営理念と実際の経営上の評価にズレが生じていたのです。

 組織として重要なのは「一貫性」を持つことであり、経営理念に沿った評価体系を取らない限り、社員のモチベーションが上がることはないのです。

日本の平和と安定を達成するために「天下布武」をかかげ、家臣に自律の精神をうながした織田信長

 今回のテーマで学ぶことができる戦国武将は織田信長と言えるでしょう。

 信長は「残虐性」ばかりクローズアップされる傾向があります。

 確かに経営理念達成のために非人道的な行為をしているのは事実としてあるのですが、彼が目指していたのはまぎれもなく約100年続いている戦乱の世を終わらせ、社会に平和と安定をもたらすことでした。

 それが彼の経営理念であったわけです。

 それを「天下布武により天下統一」と言う社会的にも家臣にも分かりやすい「ビジョン」をかかげ理念実現にまい進しました。

 その過程で信長が家臣に求めたのが「自律」の精神です。

 領土が広がりトップである自分がすべて把握することは不可能になるにつれ、信長は・・・

 戦略までは提示するが、それを達成する戦術(やり方)は家臣にまかせる

方法をとりました。

 それにより家臣がより理念の達成を自分事としてとらえ、自分たちで考えて動く体制を作ったのです。

 そして信長は・・・

 家臣の評価も自律して動いているかの行動力に一致させて評価をしていた

のです。

 良い評価と言う面で例をあげるとしたらやはり豊臣(当時は羽柴)秀吉でしょう。

 彼は信長の理念に共感し、平和と安定の実現のためにひたすら働きました。

 そんな秀吉も幾度となく失敗や失態をしているのですが、信長はその結果が・・・

 秀吉自身が理念を達成するために自分で考えて動いたものであればたとえ失敗したとしても決して罰することはなかった

のです。

 それとは逆に織田家の古参の家老(幹部)だった佐久間信盛(さくまのぶもり)は大阪の本願寺との戦いにおいて全権をまかされましたが、自分で考えて動くことなく信長の指示をあおぐ姿勢を持ち続けました。

 その結果勝機を逸してしまい、その受け身の姿勢に信長は激怒、古参の幹部であろうとおかまい無しに最終的には信盛を織田家から追放したのです。

 この決断からは信長が身分や役職等関係なく、1日も早い理念達成のために覚悟を持ってのぞんでいた姿勢がうかがえます。

 それにより信長は大きく理念実現に前進し、彼自身では達成できなかったもののその思いは秀吉→家康と確かに引き継がれて行ったのです。

 経営理念に強い思いを持ってかかげている会社はたくさんあります。しかし、実際に車内がその理念にもとづいて経営されているかはまた別でありされていない会社も多いものです。それでは理念に共感し、結果を出すべく動いている社員が正当に評価されないと言う不公平感が生まれ、モチベーションは著しく低下することにつながります。ぜひ、「理念」と「評価」は一致させて社内を「一貫性」を持った強い組織にしてまいりましょう。

 

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