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「ほめる」「しかる」に根拠を追加することで家臣の理解度を高めた秀吉のマネジメント

2020年7月12日

抽象的な「ほめ方」「しかり方」では部下のモチベーション・気づきにはつながらない!

 会社の仕事にかかわらず私たちはほめられればうれしいですししかられれば落ちこむものですが、あなたはこんな経験はないでしょうか?

 「ほめられているみたいだけどなぜほめられているのか分からない」もしくは「しかられているけどなぜしかられているのか分からない」と言うことです。

 私もこう言う経験があります。

 特に私は頭が悪く仕事ができない社員だったので上司から良くしかられたものですが、なぜか心から反省することができずに気持ちがもやもやすることも多かったのです。

一生懸命ほめても反応がうすかった部下の心のうちは?

 その原因が分かったのは自分がマネージャーとして部下を持った時からでした。

 ある日、私は上司と部下の3人でランチを食べに行くことになったのですが、その時私はこう思っていました。

 「最近彼(部下)がすごくがんばってくれているので上司の前でほめることで自信とモチベーションを上げてもらおう」

 そこでランチの間私はさりげなく、私は部下がほんとうにがんばってくれて助かっていることを上司の前で力説したのでした。

 上司はそれを聞いて「へえ、ほんとに君はがんばっているんだな」とその部下を称賛してくれたのですが、当の部下本人を見るとそんなにうれしそうじゃないのです。

 「うれしくないのかな?何がいけなかったんだろう?」と私はその時思ったのですが、その理由は後に判明することになりました。

 数日後、上司と部下がエレベーターで一緒になった時のこと

 上司は先日のランチのことを話題にし再度部下のことをほめたと言うのですが、その時に部下がポロっとこんなことをもらしたのです。

 「ほめられたのは確かにうれしいのですが、何が良かったのか分からないので喜びようがないんです」と。

 その話を上司から聞いて私は「なるほど」と思いました。

 この一連の流れから私が思ったことは

 「ほめる時(総じて発言をする時)は根拠を示す必要がある」

と言うことでした。

 確かにあのランチの席で私は「部下のどの行動が良い」と言う根拠を示すことなく、ただ「ほんとにがんばってくれている」と抽象的な言葉をくり返していただけだったのです。

 この後ほどなくして私は逆の行為である「しかる」場面においても同じ状況をまねくことになりました。

 つまり私は「ほめる」にしても「しかる」にしても、具体的ではなく抽象的で根拠を示さないために受け手側の部下が額面通りに受け取ることができないでいたのです。

 まさに私が以前に上司にしかられていた時に感じていた違和感はそこだったのです。

 「ほめる」「しかる」ことは社員(部下)の成長をうながすための上司にとっては大切なツールではあるのですが、その元となる「何を」の部分が相手に正確に伝わらない以上、それは意味のない行動になってしまうのです。

 確実に社員(部下)が理解をし、次の行動の参考にしてもらうためには具体的な「理由」「根拠」が必要になるのです。

 

 

「おだて上手」の秀吉がやっていたことはただ「家臣を気持ちよくさせる」ことだけではなかった!

 戦国時代の「おだて上手」「ほめ上手」と言えば言わずと知れた豊臣秀吉です。

 彼は持ち前の生まれ持っての天性の明るさを組織の中でたくみに活かすことで百姓から1段1段階段をのぼって行きましたが、秀吉は戦略なしに「ほめる」「しかる」ことをしていたわけではなかったのです。

 確かに晩年は彼に意見をする者がまわりにいなくなるほどの力を持ってしまい道をふみ外してしまった点は否定できませんが、少なくとも信長の家臣時代、そして天下統一前後まではこの秀吉ならではの戦略が非常に功を奏していました。

 秀吉の言動を見ると家臣に対してもう1歩ふみこむ形で接していた様子が見て取れます。

 つまり「家臣がどの点が優れていて、どの点を修正すべきかを具体的に一言追加すること」で家臣に気づきをあたえ、その後家臣が成長する方向に向かうように道を示していたのです。

 秀吉の時代は戦乱の世が平和になる過程であり、いわゆる戦で功をたてる家臣ばかりではなく、組織として仕組みを作っていく内政が得意な家臣も必要となる過渡期でした。

 つまりどちらも非常に重要な人材だったわけですが、秀吉はこの「適材適所」の配置・育成が非常に秀逸だったのです。

 その両極端とも言えるタイプの違う家臣たちに秀吉はそれぞれが「専門性」をより発揮できるようにそのシチュエーションに合わせて具体的に鼓舞をし、また修正を求めたのです。

 それにより家臣たちはタイプのちがう同僚に負い目を感じることなく、「自身がもっと伸ばすべきスキル」を秀吉からの具体的な「何を」の指摘により把握しその道の専門家として成長していくことで豊臣政権を支えたのです。

 トップや上司は「ほめる」「しかる」ことが重要だと思っていながらつい思いつくまま感情のまま「抽象的」に発言をしてしまいがちです。それでは受け手側の社員(部下)も「どの点を評価されているのか?修正すべきなのか?」が分からずに次の一手をうてずに成長にストップがかかってしまうことがあります。ぜひ、トップや上司は社員(部下)の「どの考え・行動」が優れている・修正するべきなのかをしっかりと指摘することで社員(部下)のさらなる成長を促進させましょう。

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