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「報連相は上司からは詳細に、部下からは簡潔に」がベスト!

 

先日電車で移動していた際に、隣に座っていた2人組のサラリーマンの方が話されていました。                                                               なんでも「部下が報連相をまったくして来ないので困っている」と言う内容。                                                           この問題もどこの会社でも悩まれている上司が多いようです。

私もマネージャーの時はこの点については悩んでいる時がありました。                                                 特に仕事でのミス等の点で上司である私に報告が上がって来るのが遅かったのです。                                                  時には「今更言われても困る!」と大声を出して怒ってしまう時もありました。

そんなチームにも自身にも「痛い思い」をしたある日、私は真剣に「部下はなぜ報連相をして来ないのだろう?」と考えて見ました。

そして出た結論が主に以下の点です。                                   

1、自分自身が部下の報連相を受ける態度になっていない
2、部下も他の仕事がいそがしく、報連相をする余裕がない
3、「いつ」「何について」報連相をするのかが決まっていない

この点について、部下に「今まで上司としてまじめに取り組んでいなかった」ことを謝罪し聞き取りをしたところ、おおむね上記の3点が不満として上がって来たのです。

1については部下が話しやすい環境を上司がつくっているかと言うことになります。

例えば・・・

1、普段から部下が話しかけて来た時にしっかりと向き合う事なく、パソコンを見ながら話を聞く
2、部下が仕事のミスを報告して来た時に頭ごなしに怒ってしまう

等が日常であれば部下は2度と話しかけては来なくなるでしょう。

部下が何かしらの報連相をして来た時はしっかりと向き合って目を見て応対するべきですし、どんな報告でもまずは「報告してくれた」ことに対して感謝を述べるべきです。

又2と3については「報連相のポイント」が定まっていないことが原因としてあげられます。

上司として「報連相をしてほしいポイント」を出来る限り簡潔に部下の負担が少ない形ではじめにしっかりと提示しておくことで部下の負担は軽くなります。                                                                          定期的な「時」と「場面」を設け、そこで一括して聞く形にします。                                                                      それ以外に部下が不安だったり、緊急だと感じる時には随時判断してもらう事になりますが、部下のそんな状況を上司の方がいち早くキャッチしなくてはいけません。

いずれにしても「報連相」を重視するあまり、例えば毎日「日報」等の提出を求めたり(上司・部下双方に余分な負担をかけることになりがち)することは、本来やるべき仕事に支障が出るためやるべきではありません。

又、事あるごとに「報連相」を求めることは、「部下の自主性」を停滞させることにもつながります。                                                                                            部下からすればどんな小さいことでも上司に上げることで「もうこれで自分は関係ない」と考えるため、それが進むと「指示がないと動けない」状態になってしまうため注意が必要です。

「報連相」は仕事をする上で大切なことですが、上司はその場を可能な限り最小限にし、「部下を信用する」忍耐力も求められるのです。

 

致命的な情報の未達が最悪の結果をまねいた・・・

 

今回はある戦国大名の失敗から「教訓」を学びます。

戦国時代、大隅国(現在の鹿児島県東部)に勢力を持つ肝付(きもつき)氏と言う戦国大名がいました。                                              時の当主である肝付良兼(きもつきよしかね)の時代の肝付領は北の日向国(現在の宮崎県)に勢力を持つ伊東氏と南の薩摩国(現在の鹿児島県西部)に勢力を持つ島津氏にはさまれ、非常に不安定な状態にありました。

良兼は両家と婚姻関係を結ぶなど距離感をはかりながら、ある意味「日和見状態」で領国経営をしていたのですが・・・。

ある日、その一方の島津氏より「我々への忠誠心を証明するため伊東と戦をしろ」と言う要求を突きつけられてしまいます。                                                                           と言うのも、肝付を間にはさんで島氏と伊東氏も又交戦中だったのです。

まともに戦って勝てる相手ではない伊東氏に対しての「戦をしろ」と言う要求。                                                                            良兼は悩みに悩んである一計を案じます。それは・・・

戦ったフリをしよう

と言う冗談のような本気の計略。

と言ってもいわゆる「虚戦(そらいくさ=戦をするフリ)」は「生き残る」ことが第一条件だった戦国時代において、良く行われていたと言われています。                                                                   外交対策の一環であったのです。

さっそく良兼は伊東氏に事情を説明し合意を得ることに成功します。                                                                                当日は見せかけの戦だけを短時間行いすぐに兵を引くことで話はまとまったのですが・・・。

そして戦の当日。良兼が本陣がある高台から戦の状況を見守っているとなんと・・・

両軍の兵が本気で戦いはじめたのです。

「どうなってるんだ!」と驚く良兼。                                                                         じつは肝付のほうが「これは見せかけの戦なので、すぐにやりを合わせたら兵を引くように」と言う指示が最前線で戦う末端の兵まで届いていなかったのです。

伊東氏のほうも「話が違うじゃないか」と、「こちらも本気で戦わないと負けてしまう」と結局は両軍本当の戦をする状態に発展。                                                                                    その結果、兵力でおとる肝付軍は壊滅的な損害を受け、この戦が原因で肝付氏は国がかたむき、その後衰退の一途をたどって行くのです(最終的には島津氏に吸収され名目的に肝付氏は滅亡しました)。

これは「昔の話」と他人事で済まされる話ではありません。                                                                                    現代でも良くメディアをさわがせる「知らなかった」「聞いてなかった」ことで起こる会社の大損害は良くあります。                                                                        ぜひ「報連相」は綿密に、しかし本来の業務の大きな負担にならないようにポイントをしぼった簡潔な形にする努力を重ねていきましょう。