「正しくあるべき事」をあきらめずにやり続ける思いが部下との信頼関係を高める!
社員や部下が高いモチベーションを持って仕事をやり続けることが出来る原動力とは何でしょうか? その1つとしてあげられるのが「自分がやっている仕事が社会に貢献している」と言う思いを持てるかです。
日頃特に意識してその思いをいだいてはいない社員や部下が多いですが、私自身が20年中小企業で多くの部下と接して来て分かったことは、大小の違いはあるとは言えどの社員や部下でもその思いを持っていたと言うことです。 話を聴いて行くと最後には必ずそこにたどりついたのです。
やはり「自分の仕事が社会に貢献している」と言う思いは社員や部下のモチベーションを上げ、がんばることができる一因だと言えます。
たとえ、その社員や部下のモチベーションが「自分のスキルを上げたい」や「給料がたくさん欲しい」と言った「個人」を主とした思いでもかまわないのです。 その思いを達成することが結果的に「社会に貢献する」ことにつながっていれば、そこがリンクできていれば社員や部下は高いモチベーションを持って仕事をし続けることができるのです。
そこをリンクさせ、社員や部下のモチベーションを引き出すのがトップや上司の役割です。 私が中小企業でのマネージャーの時代にほんとうにこの点をつなげることに苦心しましたし、かなりの時間を使った記憶があります。
それにはとにかく部下ととことん話し合う事が大切です。
会社の経営理念には「社会に貢献する」ことを掲げている会社は非常に多いものの、社員や部下から「共感はできるものの漠然としている」「距離が遠すぎて自分の目標とつながらない」等の思いを抱いています。
しかし社員の夢や思いを「それは何のため?」と繰り返し聞いて行くことで、社員や部下はどんな思いや仕事でもそこにつながっていることが実感できるのです。
「仕事をする」「働く」と言うことは必ず「社会に貢献する」ことにつながるわけですから、その点を時間をかけて話し合うことで「価値を見出す」ことができるようにトップや上司は導く使命があります。
そしてその前段階として、トップや上司の思いや理念が「個人」を主としたものでなく、「公的」なものであることが重要ですし、「何があってもこの思いを達成するんだ!」と言うトップや上司の「あきらめない気持ち」が社員や部下に心から伝わった時、大きな力を生み出していきます。
私利私欲が多かった戦国時代に「義理」「理想」をつらぬき通した異質の武将、上杉謙信
戦国時代に「社会のため」と言う理想にこだわり続け、「義理」を重視して戦い続けた武将がいます。 それが「越後(今の新潟県)の龍」と言われた上杉謙信(うえすぎけんしん)です。
謙信は生涯で約70回ほど戦をしていますが、なんとその勝率は9割以上、負けたのはたったの2回と言う驚異的な数字を残していることで知られています。
後世「軍神」と呼ばれていますが、まさに「鬼神」のような戦いをしていたのです。
ではその謙信の驚異的な強さの源はどこにあったのでしょうか? それが「世のため」「義理」を重んじた謙信の思い・理念であったことにつながります。
実は謙信の戦のほとんどは「私利私欲」のためではない「公的」な戦でした。
謙信の本拠である越後の南に位置する「関東」は当時、有力大名だった北条氏康(ほうじょううじやす)や武田信玄をはじめとした武将たちがまさに「私利私欲」の戦いを展開しており、不安定な状態が続いていました。
それに対して謙信は関東を安定させるために「義理の戦」をしかけます。 驚異的な強さで関東に攻め入り、取り戻した領地を地元の領主たちに返還する戦を繰り返し行いました。
戦国大名も1人の経営者です。戦での出費も莫大なものとなる中、手に入れた領地を無償で手放す謙信の戦は当時としては考えられないものでした。
当然家臣たちの中にも謙信の方針に反発した者も多くいたようです。
しかし謙信は関東遠征をやめませんでした。 この戦が「社会のため」になっていると信じ、そしてその思いを繰り返し家臣たちに伝えていきました。 何度となく氏康たちの反攻を受けながらもあきらめずにその思いをつらぬき通したのです。
そしてその思いを心から受け止めた家臣たちが増えて行きます。 多くの家臣が謙信の思いに共鳴し、「自分たちのやっていることは社会のために役立っている」と言う一点で謙信との信頼関係を高め強い組織として成長して行ったのです。
残念ながら謙信の思いは彼自身が志半ばで亡くなったことにより完全には実現しませんでしたが、その生き様・思いは自国の越後だけにとどまらず知らず知らずのうちに周囲のライバルたちにも確実に届いていました。 謙信の死を聞いて多くの大名たちがその死を悼んだのです。 彼らは自国の領国経営の責任を持ちながらもそれを超えた謙信の思い・理想にやはり共鳴し、巻き込んでいたのです。
社員や部下の心の中には必ず「社会のため」と言う思いが存在します。 その思いを、どうしても視野がせまくなりがちな社員や部下の視野を大きく広げ導くのがトップや上司の使命です。 ぜひ「まっすぐな思い」をかかげ、組織全体でそれを共有し、強い信頼関係を築いてまいりましょう。