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A(あたりまえのことを)、B(ばかになって)、C(ちゃんとやる)ことの重要性

 

 あなたは仕事やプライベートで作業を「やり忘れた」、「やったまま忘れてしまった」ことはありませんでしょうか?

 特にいそがしい現代では1つの仕事を集中してこなす時間などなく、複数の仕事を同時にこなすことが当たり前になっています。そのような状況が上記のような「忘れ」を引き起こす1つの要因になっています。

 私も色々と手痛い失敗を経験しています。

 例えば仕事で言えば予定を「手帳」に書いた時点で大丈夫と思ってしまい、そのまま忘れてしまい前日まで気づかずに「ヒヤッと」した経験もありますし、又、プライベートではやかんでお湯をわかしたまま他のことをやり始めたことでそのことを忘れてしまい、やかんが持てないくらい熱くしてしまったこともあります。

 これは「人の記憶力に頼った仕事をしている限り、必ずやり忘れが生じる可能性がある」ことを表しています。

 有名な話にドイツの心理学者のヘルマン・エビングハウスが発表した「エビングハウスの忘却曲線」と言うものがあります。エビングハウスの実験・研究によると人の脳は学習直後には100%記憶しているのに対して、時間の経過とともにその記憶は急速にうしなわれ、わずか20分後には記憶した内容の約半分が失われてしまうと言うことです。

 トップや上司でさえも自身の仕事をかかえ、忙しい毎日を送っている中小企業の現状の中「どうしても社員や部下の個人的な記憶に頼らざるを得ない」と言う状況があるとは思いますが、それでも「人の記憶」に頼っている以上取り返しのつかない失敗を引き起こすリスクが高まります。それを仕組みによって社員や部下の負担を軽減し、「強い組織」を作ることはトップや上司の役割なのです。

 その対策として私がやっていたことは主に3つです。
1、情報にしゃべってもらう
2、情報を一定間隔で確認する
3、記憶を強化する仕組みを持つ
の3つです。

 1はいわゆる「アラーム」や「ポップアップ機能」を使うと言うことです。まさに向こうからしゃべってもらうのです。今は時間になったり期限が近付いたら自動的に知らせてくれる便利な機能があります。それを有効に使いましょう。上記のやかんの件では現在ではお湯がわいたら音で知らせてくれるものが主流になっています。私もそれを使うことで「忘れる」ことが無くなりました。

 2はチームメンバー全員が持っている仕事の内容と期限を共有し、一定の時間間隔を決め、必ずその時間に全員でそのリストを確認すると言うものです。例えば「毎日9時と15時は必ずリストを確認する」と決めてしまいます。外出しているメンバーもいることを考慮し、携帯等でも見られるような措置が必要にはなりますが、そうすることで「やり忘れ」は格段に減って行きます。

 3は定期的にミーティング等を設けてチームメンバー全員で仕事の進捗状況を確認すると言うものです。これは朝のチームでの朝礼等で短時間でやるのが一般的です。チームメンバーの作業内容を1つひとつ確認し、再度記憶を強化し、確実に実行されるようにするのです。

 3つの対策のうち特に2と3をやることによって「チームワークの強化」と言う相乗効果が生まれます。メンバーがお互いに自身の仕事だけでなく、メンバーの仕事の進捗を記憶することによって「やり忘れ」の防止強化にもなり、又、チーム全体がどのように動いているのかが把握できるためメンバーの仕事をやる上での視野が広がるのです。

 このように「社員の記憶」に頼る仕事から脱却するためにやるべきことは高度なものでは決してありませんA(あたりまえのことを)、B(ばかになって)、C(ちゃんとやる)ことであり、トップや上司の覚悟が重要なのです。

 

家臣の仕事の進捗を綿密に書き出す事でリスクを回避した石田三成

 上記の事例と同じように「社員の記憶」に頼らない仕組みを作り上げたのがあの天下人豊臣秀吉の家臣の石田三成です。

 石田三成は当時の戦国武将のイメージである「戦で功を立てる」ことをあまり得意としていませんでした。しかし、上司である秀吉は三成のきめ細やかな仕事の進め方に着目し、戦での後方支援や内政の責任者として抜擢します。それにより三成は「水を得た魚」のように自身の能力を大きく開花させていきました。

 特に当時の秀吉は「天下統一」の仕上げの最終段階に入っており、いざ戦となると兵力でなんと20万の大軍が動員されました。その兵站(食料や武器の運搬等の後方支援)も膨大なものになりましたが、それを一手に引き受けたのが三成でした。

 ではそんな三成がどんなマネジメント手法でそのビッグプロジェクトを進めていたかと言えば、特に特別な大それた手法ではなくまさにA(あたりまえのことを)、B(ばかになって)、C(ちゃんとやる)ことだったのです。

 三成は部隊(チーム)ごとに家臣の役割を記したリストを用意し、それを毎日部隊全員で確認させたと言われています。ささいな気のゆるみやちょっとした油断、更には仕事の「やり忘れ」が致命的になりかねない戦場において三成はその点を徹底させたのです。

 それにより仕事の「やり忘れ」をふせぎ、家臣がお互いにメンバーの仕事を把握することで何か不具合が発生した時は瞬時に指摘することができ、「結束力」が大きくものを言う戦場において部隊の結束力は格段に高まり大きな力を発揮したのです。

 三成のこの「当たり前のことを当たり前にやる」マネジメント手法は、秀吉の天下統一後の内政担当として「検地」等のビッグプロジェクトを進める際に大きく開花していきました。そして秀吉にとって三成はまさに「無くてはならない存在」となっていったのです。

 社員や部下の能力を「育成」により開花させながらも、人として絶対にさけてはとおれない「記憶のあいまいさ」をしっかりと現実とうけとめそれに対する対策をうつことで社員や部下の負担を軽減することはトップや上司の役割です。ぜひA(あたりまえのことを)、B(ばかになって)、C(ちゃんとやる)ことで確実な仕事の仕組みをつくってまいりましょう。