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女性部下のやる気を引きだす男性上司の3つの心得

 

「女性の部下は何を考えているかわからず苦手」

「女性の部下にさけられているようだが原因がわからない」

 

こんな経験はありませんか?

ちなみに2つめの「ぼやき」は私がはじめて女性の部下を持ったときに経験した失敗談(笑)ですが、当時の私はほんとうに「女性の部下にさけられている」理由が分からずイライラしてしまい、さらに状況を悪化させると言う悪循環をまねいてしまいました。

結局その女性の部下は私が原因で会社をやめてしまい、大きなショックを受けたことを今でもおぼえています。

そのにがい経験をもとに女性の心理について勉強し、2人めの女性の部下を受け持った時にその失敗経験を活かしマネジメントに成功したと言う実体験があります。

今回はその自身の経験をふまえてお話ししていきます。

これからの社長や上司は「女性は苦手」と女性の部下とのコミュニケーションをさけているわけにはいきません。

なぜなら誰もがおわかりかと思いますが、世の中の半分は女性であり、また現代は女性が社会ではたらくことがあたりまえになっているからです。

社長や管理職であるあなたの会社にも女性はかならずおられるでしょうし、社内での女性の重要性は以前にくらべて増しているのではないでしょうか。

現代の会社の成長は女性の部下の成長にかかっているとも言えます。

そんな女性部下の雇用の形態は正社員や派遣などさまざまな形があり、特にこちらのコラムで対象とさせていただいている中小企業には非正規雇用の女性も多いかと思います。                                    しかし、男性・女性の性別にかかわらず人は誰もが「成長したい」と思っており、それは雇用の形態にかかわらず共通の思いと言えます。

ただし、男性とちがい女性が働くうえでの大きなポイントは「女性には結婚や出産と言ったその後の人生を大きく変えるイベントがたくさんある」と言うことです。

今回はその点もふくめた「女性部下のやる気を引きだす男性上司の3つの心得」をご紹介します。

1、「感情」感謝の言葉を忘れない

女性部下のやる気を引きだす男性上司の1つめの心得は「感謝の言葉を忘れない」です。

社長や管理職は男性の部下以上に女性の部下にたいしては、感謝のきもちを明確に言葉にして発信する必要があります。

なぜなら女性は男性以上に感情を大切にし、明確に言葉でつたえてもらうことで「自分の存在をみとめてくれている」と認識するからです。

女性は脳のつくりから「男性よりも現実的で実際に発した言葉を重視する」と言う研究結果があります。

あなたがもし結婚されているとしたら「奥様にたいして常に言葉であらわすのがめんどうでついそのプロセスをはぶいてしまったら、奥様が不機嫌になってしまった」と言った経験はないでしょうか?

この「わかってくれているだろう」と言う「思いこみ」にたいして女性は非常に不満を持つのです。

これは会社の女性の部下でも同じです。

依頼した仕事をやってもらった時に「ありがとう」のひとことが実際に言葉であったかないかで、女性の部下のその後のやる気はおおきく変わってくるのです。

また、女性は「正しい論理より感情をより重要ととらえる」と言うことも特徴の一つにあげられます。

人は元来「論理よりも感情」を重視する生き物だと言われますが、女性は特にその傾向が強いのです。

よってたとえば女性の部下をしかる際にも、ミスをしてしまいすでに気持ちがおちこんでいる相手にたいしていくら正論で話をしたとしても感情的になり正確に受けいれてもらえることはまずありません。

その際はまずは「ミスをしても大丈夫」と言葉でしっかりと伝え感情を安定させ、女性の部下が冷静にアドバイスを受けいれられる状態にしてあげることが先にやらなければいけない行動になります。

逆に論理的に整っていないことであっても女性の部下に感情的に前むきになってもらうことができれば、ともに成功にむけて走ってくれる非常に大きなパートナーとなってくれます。

女性の部下は「やったつもり」「大丈夫だろう」と言ったあいまいな状態を非常にきらいます。              よって社長や管理職はしっかりと言葉にして伝えることを心がけましょう。

2、「共有」アドバイスよりもまず共感

 

女性の部下のやる気を引きだす男性上司の2つめの心得は「アドバイスよりもまず共感」です。

女性の部下には社長や管理職が正しい仕事のやり方をアドバイスするよりもまずは現状に共感して相手の考えを尊重することが重要です。

なぜなら女性はなにか問題をかかえている場合、それを解決するよりもまず今の自分の状況や気持ちを共有することを相手にもとめるからです。

こんな話があります。

たとえばある映画を観て感動した際に、男性と女性ではその後のまわりの人たちへのアプローチがちがうと言います。

男性 まだその映画をみていない人に「すごく感動する映画」と言うことをつたえ「絶対にみたほうが良い」とすすめる   女性 すでに映画をみた人と一緒に「このシーン良かったね」など感動した場面におたがいに共有しあう

と言う男女でのちがいがあると言います

つまり、女性の部下は

⓵はじめに自分の現状を社長や管理職、まわりの同僚たちに共感してもらい                       ⓶その後に具体的な行動にでる

と言うプロセスをふむのです。

これは言いかえれば女性の部下は「コミュニティを非常に大切に考える」とも言えます。

女性の部下はまわりの状況を見ながら仕事をし、またプロセス重視で結果がともなわなかったとしても、がんばったことをまわりの同僚と共感することを大切にする習性があります。

上記の1でもお話ししたように「女性は感情を重要視」します。

一方、男性の社長や管理職は問題が生じたり壁にぶちあたってなやんでいる部下には、つい解決策をみつけだしたり提示したりしてしまいがちです。

このちがいが結果として「社長や上司は私の気持ちを分かってくれていない」と言うことになってしまうのです。

よってマネジメントの手法に「ティーチング」や「コーチング」と言うものがありますが、男女のちがいで明確に区別することは一概にはできませんが、女性には共感からはじめる「コーチング」のほうがより適していると言えるのです。

しっかりと女性の部下のなやみや現状を聴き、共有・共感したうえで「ではどうすれば良いのか」と言う具体的な行動を相手に考えてもらうほうがより女性の部下のやる気をあげることにつながります。

社長や管理職は女性の部下にたいしてはまず「気持ちを共有・共感」することを心がけましょう。

3、「今」遠い未来よりも近くの今

女性の部下のやる気を引きだす男性上司の3つめの心得は「遠い未来よりも近くの今」です。

女性は仕事をするうえで「数年先の遠い目標」よりも「今、目の前にある目標」を重要視するため、社長や管理職はそれに合わせたマネジメントをおこなうことが重要です。

なぜなら女性は男性以上に「結婚」や「出産」と言った環境の変化を常に考えており、更に、結婚相手の急な転勤や退職等、男性に影響されるかたちで自身の人生設計を変更せざるをえない状況が発生するからです。

山のぼりにたとえると、男性が頂上をあらかじめ決めていかに高い山にのぼれるかに闘志をもやすのに対し、女性はいつその頂上が変わるかわからないため1日1日を一歩ずつのぼり結果的に頂上にたどりつくのが理想と考えているのです。

これは別に仕事を軽視しているわけではなく、女性は結婚や出産などの自身の人生を左右するような決断にいつせまられるかわからないからこそ後悔のない「今」を過ごしたいと思っているのです。

よって社長や管理職は「数年後のゴール」よりも「今、目の前にある目標」「今やりがいを感じている仕事」を女性の部下と共有し、その実現にむけて全力でサポートする「並走型リーダー」を心がけましょう。

具体的には「成果を出させる」よりも「成長を実感させる」マネジメントが有効です。

くりかえしになりますが、女性の部下にたいし「成果」を求めすぎると長期的な展望をえがけない状況がマイナスにはたらいてしまいます。                                                                   逆に「日々の成長」を実感し自信を持つことでその先の可能性を実感してもらうことが重要になります。

そのためには「少しだけ高いハードル」をテンポよく提供し、一つずつ飛びこえて行く姿を並走しながら見まもる形がベストです。

社長や管理職は、自身の人生の先がよめない女性の部下がどんな将来になっても自信を持って生きていけるスキルと経験を今の仕事をとおして身につけられるように全力でサポートしましょう。

4、多くの側室の特徴をいかして家を安泰させた徳川家康

江戸時代までの日本では女性は「子を産み、家を守る」ことが当たり前だったこともあり、戦国時代にも男性と女性の社会での上下関係と言うものはあまり事例がありません。

しかしそんな中で多くの女性を妻としてむかえ必死にコミュニケーションをはかった戦国武将がいます。それは徳川家康です。

今回はそんな家康の女性の接し方をご紹介します。

家康は75歳で亡くなるまでに実に多くの女性を妻としました。                                                         その人数は公式で分かっているだけでなんと21人と言う膨大な人数です。

内訳としては正室が2人、側室が19人となりますが、その女性たちとの間にこれもまたおどろきの実に11男5女の計16人の子供をもうけました(最後の子供の市姫をもうけたのはなんと66歳です!)

とは言え当時は成人までに亡くなる子供も多く、彼の子供も多くが成人前に亡くなっていますが、家康がなぜこれほどの正室以外の側室を妻としてむかえ子供を産んだかと言えば、当時の戦国武将たる家長の第一のつとめは「家を残すこと」に他ならなかったからです。

家康がもうけた子供や子孫たちは260年続いた江戸幕府をささえる大きな柱となっていきました。

さて、そんな家康の側室は非常にくせのある強い女性が多かったと言われています。

これは彼が「女性は子供をたくさん産むことができる丈夫さを持っていることが1番」と言うことで、既婚歴や出産歴のある強い女性を好んで妻としたからだと言われていますが、そんな自我の強い女性が家康のまわりにあつまるわけですから、さぞかしその場はにぎやかで女性が強い環境であったことは想像できます。

現在の女性が多い職場とほぼ同じと言えるでしょう。

そんな女性たちと家康がどうやってコミュニケーションをとり円満な関係をつくっていったかと言えば、どうやら当時の「男性が女性よりえらい」と言う考えにもとづいていなかったようです。

彼が多くの側室たちと接する際に心がけたのはまさに上記1の「感謝」と2の「共感」でした。

家康は側室にたいし事あるごとに「すまんのお」と感謝の言葉をつたえ、さらに相手に不満がある時は時間関係なしにとことん話を聴いたと言われています。

まさに彼は言わば多くの女性を側室にむかえたことで徐々に「女性との理想的なコミュニケーションの取り方」を身体でおぼえていったのです。

また、話を聴きながらそれぞれの側室の性格をしっかりと把握し、「女性は家をまもる」と言う当時の常識をこえる試みをしていました。

その代表と言えるのが「阿茶局(あちゃのつぼね)」です。

阿茶局は家康との間に子供を産むことはできませんでした(一度懐妊しましたが流産)が、彼は「阿茶局は内より外のことにむいている」と判断し、徳川家の重要な外交交渉役に抜擢しました。

あの豊臣家が滅亡するきっかけとなった二度の「大坂の陣」における最初の「冬の陣」後の豊臣家との和平交渉に阿茶局を派遣し、徳川家に有利な和平条件を勝ち取ったのです。                                           まさに彼女はみごとにその期待にこたえたのでした。

これらの事例から、まさに初代将軍の家康が多くの側室をじつにうまく、たくみに活かしきったことが、その後260年つづく徳川の繁栄のいしずえを築いたと言えるのです。

 

今回は「女性部下のやる気を引きだす男性上司の3つの心得」についてご紹介をさせていただきました。

正直なところ、男性である私自身もまだ女性を正しく理解できていない点が多々あります。                                                       ここは永遠の課題でありましょう(笑)。

ましてや現在中小企業の現場で女性の部下を持ち苦労をされている社長や管理職も多いと思いますが、人の半分が女性である以上、気持ちよく活躍してもらうことは非常に重要なことと言えます。

ぜひ今回ご紹介した「女性部下のやる気を引きだす男性上司の3つの心得」を参考にしていただき、女性部下に気持ちよく活躍してもらう環境をつくってまいりましょう。